最近、棋士の藤井聡太さんが受けたことでも注目を集めている「モンテッソーリ教育」ですが、
子育てをしている親御さんの中には「良い教育方法だと聞いたことがあるけど、自分の子どもに合っているの?」や「興味はあるけど、デメリットはないのか知ってから選びたい!」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、モンテッソーリ教育で重要なお子様の敏感期とメリット・デメリットについて、ご紹介致します。
モンテッソーリ教育の「敏感期」とは?

モンテッソーリ教育の中で、重要な概念が「敏感期」です。
モンテッソーリ教育における敏感期とは、お子様が特定の能力や性質を身につけるために、ある時期にだけ現れる特別な感受性のことです。
簡単に言うと、子どもが特定のことに夢中になり、集中的に学ぼうとする時期のことです。
この敏感期について知っておくと、子育てをする親御さんにとってもプラスになりますので、ぜひ知っておいてください
知っておくべき!「敏感期」の9種類

モンテッソーリ教育の「敏感期」には、9種類あると言われています。
また、モンテッソーリ教育は、発達段階に合わせた5つの分野に分かれています。(モンテッソーリ教育の5つの分野について詳しくは、下記を参照ください )

発達年齢とそれぞれの敏感期の特徴を分かり易くご説明します。
発達年齢は、個人差がありますので目安として参考にしてください
1.運動の敏感期
手や指を動かす微細な動きから、全身を使うことに大きな喜びを感じる時期。
発達年齢と特徴
- 0~3歳 ⇒日常生活に必要な基本的な動きを獲得
- 3~6歳 ⇒獲得した基本の動きをさらに自分なりに調整、洗練させていく
・ひとつひとつの動きを満足するまでやらせてあげる。
・発達段階に合わせて、次のステップがあることを示してあげる。
・挑戦することを止めない。
2.言語の敏感期
母国語を習得し、聞くこと・話すことが楽しくてしょうがない期期。
発達年齢と特徴
- 7カ月胎児期〜3歳前後 ⇒はなし言葉を獲得
- 3~5歳 ⇒文字を書くこと、文字を読んで理解する
・7カ月の胎児は聴覚が既に発達しているため、お腹の中にいる胎児のころから話しかける。
・しゃべれない時期でも、赤ちゃん言葉ではなく正しい発音で話すことが大切。
・文字を書きたくなる時期なので、満足いくまで書かせてあげましょう。
3.感覚の敏感期
五感を刺激するものに対して興味・関心を強く抱く時期。
発達年齢と特徴
- 0〜3歳 ⇒無意識に五感を使って吸収する
- 3~6歳 ⇒分類、秩序、整理する
・本物を通して五感(見る、聞く、触れる、嗅ぐ、味わう)を使う体験をたくさんさせてあげる。
・お子様の好奇心が育つ時期(「なんでなんで?の時期」)なので、気が済むまで付き合ってあげましょう。
・何度も同じことを聞かれても、イライラしないで答えてあげましょう。何度も聞かれた時は、「なんでかな?」と聞いてあげて、教えた答えが返ってきたら「よく覚えていたね!」と褒めましょう。
色々な体験をすることは、感受性や表現力豊かな子どもになります
4.秩序の敏感期
順番、場所、習慣、などに強くこだわる時期。
発達年齢と特徴
- 6カ月〜4歳 ⇒いつもと同じことにこだわる
- 2歳ピーク ⇒秩序が乱れると不機嫌になる。イヤイヤ期と同時期になる
・「いつもと同じがいいね!」など声をかけ、子どもの気持ちを受け止めてあげる。
・親がいつも通り子どもに接することが、子どもにとって何より安心する環境になる。
5.小さいものへの敏感期
小さいものに目の焦点を合わせられることで嬉しいと感じる時期。
発達年齢と特徴
- 1〜3歳 ⇒目の焦点を合わす練習をする
・お子様が小さいものを見つけたら、「よく見つけたね!」と一緒に喜んであげましょう。
・小さな発見を大事にしてあげる。
6.書くことの敏感期
目でしっかり見ながら書いてみたい時期。
発達年齢と特徴
- 3〜5歳 ⇒目で見ながら書いてみたい!という強い欲求が出てくる
- 文字を知る:形や読み方。
- 書くための手の発達:つまむ、手首を動かす運動の習慣。
- なぞる:指やサインペンでなぞる。
「書くことの敏感期」は「読むことの敏感期」よりも先にでてきます。文字が読めなくても焦らないで大丈夫です。
7.読むことの敏感期
文字を読むのが楽しくて仕方ない時期。
発達年齢と特徴
- 4〜5歳 ⇒身近にある文字を読んでみたくなる
・お子様の見える場所に文字を貼ったり、置いたりして、興味がわく環境を作りましょう。
・集中している時は、急かさずお子様のペースに合わせましょう。
「書くことの敏感期」の後に、「読むことの敏感期」が訪れます。
8.数の敏感期
数を読みたい!数えたい!時期。
発達年齢と特徴
- 3〜6歳 ⇒多い・少ないなどの量にこだわる
・数と実物を両方見せて、組み合わせてあげる。
・数を「数えられること」=「数を理解できている」わけではないことを親が理解しておくことが大切。
9.文化・礼儀の敏感期
言語・数以外に出てくる世界のすべてに興味や関心を持ち、社会や世界との関わり方を知っていく時期。
発達年齢と特徴
- 4歳半~ ⇒あいさつや、行事などに興味を持つ
植物、動物、鉱物、宇宙、歴史、地理、芸術、挨拶、季節、行事など
- たくさんの物事や人に接する。
- 世界を整理し関係づける。
- 自分の役割を明確化する。
- 社会の一員になる。
子どもは、様々な経験を通し自分の役割を明確にすることで、社会の一員になっていきます。
モンテッソーリ教育のメリット・デメリット

モンテッソーリ教育は、多くの著名人が受けた教育でもあり魅力もたくさんあります。
しかし、メリットだけでなくデメリットもありますので、両方ご紹介致します。
モンテッソーリ教育のメリット
モンテッソーリ教育のメリットは、たくさんありますが最も代表的な3つをご紹介致します。
モンテッソーリ教育では、子どもの興味や関心を尊重し、大人が自主的に学ぶ環境を提供する教育法です。
大人が必要以上に手を貸さず、子どものペースで取り組むことを重視します。
このプロセスを通じ、子どもは「自分だけでできる!」という達成感を得ることができ、自信を持つことに繋がります。こうした経験を繰り返すことで、子どもは自然に問題解決能力や主体性を身につけていきます。
この教育法の魅力は、こうした成長を支える環境作りにあるといえるでしょう。
モンテッソーリ教育では、子どもが集中できる環境が準備されています。
子ども自身の中から「やってみたい!」「挑戦したい!」という欲求が出てきて、その作業を大人が見守ることを重要としているため、例え失敗しても子ども自身で考えるため、集中して取り組みます。
没頭しながら繰り返し行うため、自然と子どもの集中力が養われます。
モンテッソーリ教育では、子どもが自分のペースで活動できる環境を整え、心の安定を育むことを重視しています。
そのため、子どもがやりたいことを集中して取り組め、「自分だけでできた!」という喜びや達成感を得ることで自信がつきます。
また、大人が見守ることを重視しており、子どもがやりたいことにじっくり挑戦できる環境が、心のバランスが整う上で重要な役割を果たします。
モンテッソーリ教育のデメリット
モンテッソーリ教育のデメリットを知っておくことで、お子様の性格や発達状況に合っている教育なのか判断することができます。
モンテッソーリ教育は、子どもの自主性を最も尊重することを目的としているため、逆に言えば、集団行動をする機会が少ないことが指摘されています。
日本では、モンテッソーリ教育の学校は少なく、一般的な学校に進学した場合、周りの子どもたちと一緒に何かをする集団行動をする際、戸惑ったり自分のやりたいことをしようとする可能性があります。
そのため、ご家庭で対処する必要があります。
例えば、チーム制で行うスポーツの習い事をしたり、お友達と遊ぶ機会を増やすなど、お子様が他者と協力して何かを成し遂げたり、コミュニケーションを学ぶ機会があれば、協調性を育むことができます。
モンテッソーリ教育では、子どものペースで学ぶことを重視しているため、決まった時間で作業をしたり、規律を守ることが大切だと意識しずらい環境です。
そのため、集団行動をする一般的な学校では、決まった時間の中で活動する際に、ルールが守れなかったり、周りに合わせることができない可能性があります。
モンテッソーリ教育では、先生が指導するわけでなく、縦割り教育で子どもの「やりたい!」を重視する教育です。
そのため、子どもが興味あることに没頭でき、自分と向き合う時間を多く取ることができますが、その反面運動系のプログラムが少ないことから、相手(ライバル)がいることから養われる競争心が芽生えにくい可能性があります。
幼少期は、相手(ライバル)のことを純粋に尊敬できる時期なので、競争する環境がつくりやすい運動をする機会を取り入れることが競争心を高めやすいと考える方が多いです。
しかし、競争心を育むのは、相手(ライバル)だけではなく、過去の自分より何かができるようになったことで、自己の成長にも繋がり、競争心を育むことにつながります。
縦割り教育とは?
年齢が異なる子どもを同じクラスに集めて保育活動を行うことです。
幼児期から異年齢の子どもと交流する機会が増えることで、お互いの価値観の違いや他者への思いやりが育まれ、コミュ二ケーション能力が養われます。
まとめ
モンテッソーリ教育を取り入れる前に、子どもに訪れる9つの敏感期を知っておくことが大切です。
私も子どものイヤイヤ期では、いつもと同じことをしているはずなのに「何がそんなに嫌なんだろう?」と悩むこともありました。
子どもがいつもと同じことにこだわる、秩序の敏感期があることをもっと早く知っていれば、正しい対応ができたのにと悔やむこともありました。
お子様の敏感期について知っておくことで、子どもへの理解が深まり、なぜその行動をするのかが分かるため、子育てへのイライラが減り、子どもと、ゆとりを持って向き合うことができます。
また、モンテッソーリ教育のメリット・デメリットを理解した上で、我が子に合っている教育なのかをよく考えてから取り入れることをおすすめします。
デメリットについては、教育現場で不足しがちなことをご家庭で補う環境があれば、解決できることがほとんどです。
メリットについてもモンテッソーリ教育の幼稚園や保育園に通わなくても、知育教具などを通して、ご自宅で取り入れることは可能です。
上記を参考に、お子様と親御さんの両方が無理ない範囲で、モンテッソーリ教育を取り入れてみてはいかがでしょうか。