PFCバランスとは、健康的な食生活を送るために必要な三大栄養素「タンパク質・脂質・炭水化物のバランス」のことです。PFCバランスを普段から意識して食事を摂ることができれば、理想の身体へ近づくきっかけになります。
まずは三大栄養素の働きをしっかりと意識して、食事に取り入れていきましょう。
今回はPFCバランスについての基礎知識と、PFCの計算式の方法を解説していきます。
PFCバランスとは?
PFCバランスとは、人間が生きていくために必要なエネルギーを作る栄養素「Protein(タンパク質)」「Fat(脂質)」「Carbohydrate(炭水化物)」の頭文字を取った言葉で、それぞれの栄養素からのエネルギー摂取比率のことです。

Protein(タンパク質)

タンパク質は体を構成する成分の中で水分の次に多い(水分60%、タンパク質15~20%)栄養素です。筋肉や臓器、皮膚や毛髪、体内ホルモンや酵素などの構成成分で、生命の維持に欠かせません。
タンパク質は、主にアミノ酸によって構成されます。中でも健康的な体づくりに重要なアミノ酸は20種類あり、それぞれが目的に合わせて結合し、複数種類のタンパク質となります。同じタンパク質でも、皮膚や毛髪などの形が異なるのは、このアミノ酸の組み合わせによるものです。
また20種類のうち、体内で作れない9種類のアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれ、健康維持のために欠かせない栄養素です。必須アミノ酸は食事で摂取する必要があるため、タンパク質が豊富に含まれる肉や魚、卵や乳製品、豆類などを積極的に摂りましょう。
Fat(脂質)

脂質は細胞膜やホルモンの主要な構成成分です。炭水化物やタンパク質は1gあたり4kcalのエネルギーを持ちますが、脂質は1gあたり9kcalと倍以上のエネルギーを持つため、効率の良いエネルギー源として毎日欠かすことなく摂る必要があります。
Carbohydrate(炭水化物)

炭水化物は1日のエネルギー量の50~60%を占め、消化管から吸収されエネルギー源となる糖質と、体内では消化されない食物繊維に分けられます。糖質は1gあたり4kcalのエネルギーを持ち、運動や脳のエネルギー源となります。
一方、食物繊維は小腸で消化されずに大腸まで達し、便秘の予防や血糖値上昇の抑制、コレステロール濃度の低下をサポートします。18~64歳における食物繊維の摂取目標量は、1日あたり男性21g以上、女性18g以上となっています。
PFCバランスが崩れると
PFCバランス(たんぱく質、脂質、炭水化物のバランス)が崩れると、体重増加や栄養不足、エネルギー不足、代謝異常、健康問題のリスクが高まる可能性があります。
PFCバランスが崩れると起こりやすい

- 内臓機能の低下や体の不調
- 肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病
- 心筋梗塞や脳梗塞などの病気のリスク
- 免疫機能の低下
- ホルモンバランスの乱れ
- 肝臓の解毒作用の低下
- 集中力の低下やイライラ
PFCバランスが崩れる原因

- 仕事が忙しく食生活が乱れる
- 無理なダイエット
- 糖質や脂質の摂取量を極端に減らすダイエット法
- 体型を気にしてタンパク質を中心とするトレーニング食を取り入れる
理想のPFCバランス比率とは?
PFCバランス目安比率 | |
栄養素 | 割合 |
タンパク質 | 13~20% |
脂質 | 20~30% |
炭水化物 | 50~65% |
PFCバランスは健康的な体づくりに必要な食生活の指標であるため、理想のPFCバランスを知ることでエネルギーを産生する栄養素と、この栄養素の構成成分である各種栄養素の摂取不足を防ぐことができます。
理想的なPFCバランスは、性別や年代によって変化はありますが、だいたい平均するとタンパク質15%、脂質25%、炭水化物60%です。
食品によって含まれる栄養素は異なるため、肉だけではなく魚も摂ったり、炭水化物の糖質に偏るのではなく野菜に含まれる食物繊維も摂り入れたり、米などの主食、肉や魚などの主菜、野菜などの副菜をバランスよく摂取する必要があります。
PFCバランス計算方法
- タンパク質(%)=タンパク質(g)×4(kcal)÷摂取エネルギー全体(kcal)×100
- 脂質(%)=脂質(g)×9(kcal)÷摂取エネルギー全体(kcal)×100
- 炭水化物(%)=炭水化物(g)×4(kcal)÷摂取エネルギー全体(kcal)×100
この計算式を使って実際に計算してみます。
例えば、摂取エネルギー全体が1,800kcalで、たんぱく質を80g、脂質を50g、炭水化物を250g摂取した場合、PFCバランスは以下のようになります。
- タンパク質(%)=80(g)×4(kcal)÷1,800(kcal)×100=約18%
- 脂質(%)=50(g)×9(kcal)÷1,800(kcal)×100=約25%
- 炭水化物(%)=250(g)×4(kcal)÷1,800(kcal)×100=約55%
このようにPFCバランスの計算方法は、計算式に当てはめるだけで手軽に計算することが出来ますので、自分のPFCバランスを知りたい時に活用してみてくだい。
PFCバランスを意識した生活習慣の作り方

やりたいと思っていても実際にPFCバランスの良い食事を完璧にこなしていくのは、なかなかハードルの高いことです。アスリートやプロではない限り、完璧に食事を管理する必要はありません。
大切なのは、なるべく理想のPFCバランスになる食事に近づける事です。
なぜなら人それぞれライフスタイルの形式は様々な為、完全に自炊しかしない人に比べ、ほぼ外食の人はPFCバランスの調整が難しくなってきます。
でも諦める必要はありません。食事で足りない分をサプリメントなどで、補助的に補う事も可能です。
欠食期間を作らない

PFCバランスだけを考え、食事してはいけません。例えば1日3食食べる人ならば、朝食・昼食・夕食を必ず取るように心がけましょう。
欠食を作らない事がPFCバランスを整える上で一番重要な事だと言えます。
食事の栄養は積み重ねが大事になってきます。朝食を抜いてしまったからといって、2食でバランスを取ろうとすると、急激なドカ食いにつながり身体に負担がかかってしまいます。
朝食のポイント

朝食の欠食は一番やってはいけない事です。人間の身体は、寝ているあいだも、代謝などにエネルギーを使ったりしているため、起床後はエネルギーを作るための栄養素が欠乏しています。
欠乏している期間が長いと、筋肉を分解して、足りない栄養素を作り出すカタボリックという状態になってしまいます。ですから朝食では、エネルギー源となる糖質と、代謝に必要なたんぱく質をしっかりとりましょう。
時間が無くてしっかりと朝食を摂る時間が無い人は、プロテインを一杯飲むことをオススメします。
プロテインなら豊富なタンパク質の摂取とアミノ酸も同時に摂れるため、忙しい朝にピッタリです!
昼食のポイント

仕事や運動などで消費エネルギーが多いので昼食は、しっかりとエネルギーを補給したいタイミングとなります。
PFCバランスを考え、自分の目標とする摂取エネルギー量の範囲内であれば、あまり食べるものを気にしすぎずに好きなものを食べるようにしましょう。好きなものを食べる事により、食事のストレスを溜めない事も重要です。
なぜなら活動量の多い時間のエネルギー摂取となるため、多少なら脂質の多い食事をしても、エネルギーを消費できるからです。ですから、なるべく揚げ物や、肉類などの脂質の多い食べ物は昼食に摂るようにしましょう。
夕食のポイント

夕食時は朝と昼に比べ活動量が少なくなります。健康の為にも脂質や糖質をできるだけ控えめにすることが大切になります。
昼食時に自分の好きな食べ物を食べる代わりに、夕食時には1日の食事バランスを振り返り食事のバランスを調整するように心がけていきましょう。
例えば昼食時のメイン料理が肉だった場合は、夕食時は魚や大豆食品にするなどして、1日の食事の全体バランスを調整するようにしましょう。
まとめ
PFCバランスを意識して生活することは重要です。タンパク質、脂質、炭水化物をバランスよく摂取することで健康的な身体作りが出来るようになります。
しかしPFCバランスの整った食事が重要と分かっていても、なかなかPFCバランスを意識した食生活を毎日送ることは難しいものになります。
大切なのは食事は楽しく、ストレスを溜め込まない程度に、PFCバランスを意識することです。どんなにバランスの良い食事が出来たとしても、それが自分にとってストレスが溜まってしまう原因になってはいけません。
まずは自分のPFCバランス計算してみて、自分の出来る範囲でPFCバランスを見直してみましょう。